掲載2010年6月21日
内容紹介・訳者メモ
メキシコ湾の災害の現況が伺える内容である。Jane Burgermeisterの情報では、海底の亀裂から石油が噴出した後、地中の高温部に海水が入り込んで大規模な水蒸気爆発→大津波が発生するのではないかとも推測されている。いずれにしても、ハリケーンの発生で一気に災害が拡大する展開が見えてきた感じがする。
予想通り、オバマは15日のテレビ演説で、石油資源は限られており、地殻深くまで採掘しないといけない状態だ、だからこんな惨事が起きたのだと警告している。今回の災害を利用し、炭素税・排出権取引・新エネルギー利権の推進へと世論を誘導する意志があることは間違いない。
しかし、それだけの目的でこれほど大々的な災害が必要とも思えない。本当の目的は、災害による大混乱で、恐怖に陥れ、人間どうしの対立を激化させ、互いに殺し合うよう仕向けることで、世界的に増殖しすぎた人類を駆除することにあるような気がする。我々が雑草を除去したり、害虫・有害動物を駆除するときに、どんなことをするかを想像すれば、その真意が理解できそうである。
今回の記事で、マイク・アダムズが訴えているのは、企業による政府の支配の問題である。我々は、国営など公共事業は非効率であり、「自由競争」の私企業こそが素晴らしいという思想を刷り込まれてきた。確かに公共事業の職員には態度の悪い人が多いため、実感的にも受け容れやすい発想だった。だが、一方で、厳しい競争にある私企業は「お客様は神様」と態度は柔らかいが、笑顔で消費者を騙す。つまり、エラそうな態度に嫌な思いをするのと、おだてられて騙されるのと、どっちが良いかという究極の選択に過ぎず、実は問題の本質は、民営か公営かではなく、競争の有無でもない。
また、近年では更に私企業から概念が進化し、NGO(Non-governmental Organization)とかCSO(Civil Society Organization)といった「政府系ではないこと」に良いイメージを持つ傾向にある。イギリスではCommon Purpose(共通の目的)というネットワークが根をはって社会を支配していることをBrian Gerrishという気骨のありそうな元軍人さんが暴いている(Common Purpose Exposed)。民主主義の国であれば、政府は民主的な政府のはずだが、政府系でないことが民主的に思えるのは、どういうことか。更に政府から助成金が出ているNGO、つまり「政府系非政府組織」となるが、もうこうなると、わけがわからない。
いずれにしても、少なくとも形式的には選挙や議決などの民主的手続きが必要な政府と比べ、企業や私的団体は、はるかにマネーで操りやすい。政府から私企業、民間団体、あるいは国際組織へと権力を移してきた大きな流れの意図はそこにあると見ておくべきだろう。

メキシコ湾の石油漏出対策に関する17の疑問
17 big questions about the handling of the Gulf of Mexico oil spill
メキシコ湾のBPの惨事についてはっきり言えるのは、主流のマスコミよりも、独立系ジャーナリストの方がはるかに鋭い取材をしていることだ。CNN、フォックスなども確かにこの問題に関心を向けており、いくらか堅実な報道もしてはいるが、例えば、なぜ米国政府はさもBPと結託しているかのように漏洩の実態を隠蔽するのか?といった真相に迫る取材ができていない。
先日、「メキシコ湾石油漏洩に関する16の熱い疑問」という記事をTheEconomicCollapseBlog.comで見つけた。実に優れた洞察である。この疑問の作成者は誰か不明なので紹介できなくて残念だが、検討の価値があると思ったので、以下に私のコメントと追加の疑問を加えて紹介する。
16の疑問
(1) バラク・オバマは、メキシコ湾岸沿いに17,000人以上のNational Guard(州兵、国家警備隊)を配備し、州知事が「必要であれば」使用できるようにしている。だが、この州兵は、具体的に何をする予定なのか? 石油流出を止める仕事をするのか、それとも民衆を統制する仕事なのか?
(マイク・アダムズの見解)良い質問だ。今回の対策活動を見ると、浄化作業というよりも、現場にメディアの取材を寄せ付けないようにしたり、人々の現実認識をコントロールすることが目的のようだ。
(2) バラク・オバマは、「メキシコ湾復旧大臣(Gulf recovery czar)」を任命すると発表した。メキシコ湾地域の復旧を監督する責任者だ。この「大臣」の任命が、この状況に責任を持つというオバマの考えなのか?
(3) 信じられないほど有毒なため、英国の海務局はコレキシット9500を完全に禁止している。つまり、仮に英国の北海で大きな石油流出が発生しても、BPはコレキシット9500を使うことができない。それと同じものを、メキシコ湾なら使用できるのは何故か?
(マイク・アダムズの見解)コレキシットは海洋動物を殺し、海の底に沈めて見えないようにできる。今でも相当な感情的な抗議があるのに、死骸が浜辺に流れ着くようなことがあれば、もっと激しくなる。
(4) 2.61ppmのCorexit 9500(1:10の比率で石油と混合したもの)にさらされた魚の50%は96時間以内に死亡するとされる。ということは、1ガロンのCorexit 9500・石油混合物は、383,141ガロンの海水を、魚にとって非常に有毒な海水にする能力がある。それで何故、BPはメキシコ湾に1,021,000ガロンのCorexit 9500とCorexit 9527を投入できるのか? さらに追加で805,000ガロンを投入しようと注文しているが、何故それを止められないのか?
(マイク・アダムズの見解)悲しいことに、メキシコ湾を仕切っているのはBPであって政府ではない。米国政府は私企業の手先になってしまい、今やBPは自らがメキシコ湾の所有者の気になり、好きなようにしている。
(5) 魚にとって分散剤が信じがたいほど有毒ならば、農作物への影響はどうなのか? 人間への影響はどうなのか?
(マイク・アダムズの見解)ハリケーンが吹き上げた化学物質が陸地に降り注げば、メキシコ湾全域が汚染されるだろう。最悪の条件が重なれば、たとえばフロリダの柑橘類産業は全滅するかもしれない。
(6) メキシコ湾の浜辺の一部では鼻孔を焦がすような相当に強い臭気が出ているようだが、野生動物はどうなっているのか?
(7) メキシコ湾岸地域から大量の鳥の群れが北に向かっているのは不吉な徴候か?
(マイク・アダムズの見解)数年前にインド洋で津波があった。そのときには、動物が先に逃げ、何も知らない人間は逃げ遅れて殺人的な波に打ちのめされた。メキシコ湾でも、これに似たことが起こっているのだと思う。ハリケーン一つで、全域に毒性化学物質が拡散するだろう。〔訳註:ハリケーンのシーズンは6~11月で、集中時期は8~10月〕
(8) なぜBPは民間警備会社を雇い、浄化作業の現場に人々が近づけないようにしているのか?
(マイク・アダムズの見解)それが問題の核心である。ハリバートン社が中東で治安活動をしているのと同じで、メキシコ湾ではBPが治安に当たっている。今や受託企業は現地の警察になっており、まるでメキシコ湾を所有しているかのようにふるまっている! これは企業が政府を乗っ取った証拠だ。
(9) なぜBPは、GoogleやYahooのような検索エンジンの検索結果を公然と操ろうとしているのか?
(10) なぜFAA(連邦航空局)は、メキシコ湾の漏洩現場の上空を閉鎖したのか? 米国民に見て欲しくないものとは何なのか?
(マイク・アダムズの見解)これにはいろいろな答がある。たぶん連邦政府は、人々が小型機に乗って航空写真を撮り、インターネットに掲載するのが嫌なのだろう(オバマ政権は事実の隠蔽活動で過労気味である。ちょうどブッシュ政権が中東の戦場から星条旗に包まれて帰還した棺桶を隠したのと似ている)。深海で核を使用して油井を破壊するという狂った計画があるせいかもしれない。キノコ雲が現れて、飛行機が墜落してはまずいのだろう。
(11) ビル・ネルソン上院議員(フロリダ州)は、原油が漏洩している海底には、更に亀裂が発生しているとの報告があると言っている。そうした亀裂が相当数あるならば、一体どうやってBPは完全に漏洩を止めることができるというのか?
(マイク・アダムズの見解)実は、BPはこの漏洩が短期間で止まるとは思っていない。完全に事実歪曲モードに入っており、全貌が明らかになる前に株式を処分する時間稼ぎとして、真実を否定し、ごまかす言葉を考え続けている。
(12) 科学者は湾岸の海域に通常レベルの1万倍の濃度のメタンを検出しているが、これは何故か?
(マイク・アダムズの見解)BPが海底を破壊したため、地下に封じ込まれていた膨大なガス水和物(メタンを含む)が噴出している。
(13) メキシコ湾の数箇所のモニター設備にて3000ppmを超える濃度のベンゼン、1192ppmもの高濃度の硫化水素が検出されている。これは人間に極めて有害なレベルだが、どうして一般市民に警告されていないのか?
(14) 流出現場で働く作業員の多くが、「謎の病気」に苦しんで地元の病院を訪れているが、これは何故か?
(マイク・アダムズの見解)これはメキシコ湾岸バージョンの「湾岸戦争症候群」になるだろう。あるいは9/11で消防士が患ったアスベスト問題のようなものだ。メキシコ湾で使用中の化学物質の毒性副作用が頻発するだろうが、BPも連邦政府も化学薬品と病気の関係を何年も認めないことは十分に想定される。
(15) 保護ブーム(オイルフェンス)の「70~80%」が石油を遮断するのに全く役立っていないならば、何百万ガロンの石油が浜辺に押し寄せるのを止めるものには何があるのか?
(マイク・アダムズの見解)もちろん、何もない。石油は浜に到達することになり、BPにも連邦政府にも止めることはできない。実際のところ、少し沖合で石油を吸い上げているはずの作業船を休止させて、浄化作業を妨害しているようにも見える。
(16) 深海からの石油の噴流により、あらゆる生物が酸欠になり、広大な「死の世界」が発生していると言われている。この石油流出が拡大を続けるならば、メキシコ湾の大部分は巨大な「死の世界」になるのだろうか?
(マイク・アダムズの見解)まさにそうなりそうだ。メキシコ湾は巨大な死の世界になり、これは「地球に対する人類の犯罪」の歴史に追加されることになるだろう。これについてはCounterThinkで漫画化した。(2452年、人類による自然への残虐行為博物館:The Museum of Human Atrocities)
私自身の疑問を一つ加える。
(17) どうして我々の政府は、漏洩の真実を隠蔽するBPと共謀しているのか?
ケーブル・ニュースのBPの記者会見を覚えているだろうか? 沿岸警備隊の代表(女性)は、BPの広報官のわきに立っていて、まるでBPの家来のようだった。これは正気の沙汰ではない! どちらかといえば、沿岸警備隊がBPにあれこれ指示すべきであって、その逆ではない。
それに沿岸警備隊は、どうして漏洩現場に取材レポーターが近づくのを「不法侵入」で逮捕すると脅して制限しているのだ? 公共の水域に不法侵入? メキシコ湾の所有者はBPではないし、我々には本当に発生していることをビデオ撮影するためにボートで乗り出す権利がある。だが、米国政府は今やBPに奉仕しており、一般国民の自由を制限してBPのイメージを守ろうとしている。
いつものこと?
私は、今回の災害は、「対策」によって自由を抑圧する新たな9/11だと思っている。今回の惨事への対策という名目で、どんな自由剥奪政策が推進されることになるのか・・・じきに分かるだろう。それが全て発表され実施されれば、損失を被るのはBPだけではない。我々全員だ。
企業支配と政府の共謀
今回のBPの惨事で我々は、我々自身の政府が強力な企業支配と結託して真実を隠蔽し、本来の浄化作業を妨害して事態をさらに悪化させているのを目撃している。まるで連邦政府は、わざと事態を悪化させ、災害を拡大するように取り組んでいるようだ。だが、どうしてだ?
なぜ我々自身の政府が災害を拡大しようとしているのか? その答は、あなたの目の前にある。ニューヨークの9/11の跡地に行き、ツインタワーの崩壊以来、米国政府がさまざまな方法で権力を拡大してきたことを思い出してみよう。
「絶好の危機を決してムダにしない」が今日の「大きな政府」の座右の銘である。国民から権力を奪い取る最も簡単な方法は、小さな災害を大災害に変え、「政府の対策」として、災害がなければありえないような大規模で抑圧的な法律へと飛躍できる。
では、今回の災害に対応するという名目で、オバマ政権はどんな抑圧的法律を考えているのか?おそらく政府は全海域の支配、もしくは海産物の全面的な支配を考えているのだろう。あるいは、今後25年間、禁油(石油を違法化)し、別のエネルギー形態への移行を強制するのかもしれない(それも生態系にとっては悪くはないが、自由の剥奪という大きな代償をどう解釈すべきか)。
今のところ、無数の陰謀論が政府の真意を推測している。そのどれが真実かは分からないが、一つだけ非常に明確なことがある。政府はメキシコ湾の問題解決に関心がない。真実を隠蔽するため、写真を撮影しようとする大手メディアを脅し、現場上空の飛行機の通過を規制し、現場付近の船舶の航行を規制し、本当に起きていることを国民に知らせないように日々嘘をついている。
それだけの事実があれば、思考力のある人ならば、疑問を抱くはずだ。もしも状況が本当に順調ならば、どうして嘘をつかなければならないのか?
米国政府は自国民に毒を盛る
政治的な目的を達成するために、米国政府が自国民に毒を盛るかもしれないと信じるに足る歴史的事実がある。禁酒法の時代、米国政府は、法律を無視して酒を飲む人に危害を加える(あるいは殺す)ために、実際に毒入りアルコールを販売した。
その話は、以下に掲載する。我々の政府が、国民の力を利用したいとき、どんなことをやりかねないか、学ぶことができるだろう。
(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)

禁酒法時代に米国政府は自国民に毒を盛った
U.S. govt. poisoned its own citizens during Prohibition
米国史には、あまり知られていない暗黒部がある。禁酒法の時代に、法を無視する人々を阻止・懲罰するために、連邦政府はアルコール製品に毒を仕込む命令をした。
1906年より、米国政府は、アルコール飲料に含まれる同一物質と区別する加工処理として、工業用エタノールのメーカーに化学物質の添加を要求し始めた。憲法修正第18条によってアルコールの製造・販売・輸送が禁止され、政府が密輸を厳重に取り締まるようになると、密売人は化学産業に目を向けた。単純な加工処理によって、塗料、溶媒、燃料、医薬品などに使用される工業用アルコールから毒性化学物質を除去し、この比較的純粋なアルコールを使って酒を製造した。1920年代中頃には、毎年、約6000万ガロンの工業用アルコールが盗まれていた。
これに対応するため、カルビン・クーリッジ大統領の政府は、業界に対し、除去が難しい毒物(アセトン、ベンゼン、カドミウム、ショウノウ、石炭酸、クロロホルム、エーテル、ホルムアルデヒド、ガソリン、ヨウ素、灯油、メチルアルコール、水銀塩、ニコチン、キニーネ、亜鉛など)を高レベルでアルコールに添加するよう命令した。この作戦が実施されて間もなく、クリスマス休暇中にニューヨーク市だけで31人が毒物死した。歴史家は、禁酒法が終了した1933年までに、この作戦により合計1万人が殺されたと推定している。
この毒殺計画は決して秘密ではなかった。政府はそれを知らせることで、国民が飲酒をやめると期待していた。だが正確に言うと、禁酒法は、アルコールの(製造・販売・流通を禁じただけで)飲酒は禁じていなかった。
「政府は毒を入れても人々が飲酒をやめないと知っている」とニューヨーク市の検屍官チャールズ・ノリスは言っている。「飲酒をやめられない人たちが毎日毒を飲んでいる事実を無視して、毒物を添加し続けている。これは真実であり、毒入りの酒による死亡の道義的責任は米国政府にある」
(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)
訳者メモ
ウィキペディア(アメリカ合衆国憲法修正第18条:禁酒法)によると、
宗教的理由に加え、男性が(不健全な)酒場に入り浸り家庭生活に支障をきたすことに対する女性からの批判は大きく、女性を中心とする禁酒運動は根強かった。
ことなどが、禁酒法の背景のようだが、結果として「飲酒禁止によって犯罪を抑止しようとしたが、逆に酒をめぐる犯罪が増加したため」に廃止された。
1. 隣国カナダからの輸送を取り締まらなかった。カナダ国内で合法的に販売された酒類は爆発的に売れ、アメリカへと持ち込まれることになった。これによりカナダ経済は非常に潤うという結果を生んだ。
2. 禁酒法の執行官の待遇が悪かった。薄給で特別な資格も持たず、密造・密売業者やそれを纏めるギャングら(アル・カポネ等)に容易に買収された。
3. 密造酒による健康問題や、密売に関わるギャングやマフィア同士の抗争による治安の悪化も問題となった。
4. 不健全な酒場を廃止することが目的の一つだったにもかかわらず、より不健全な非合法酒場が横行した。(以下略)
とあり、結果から判断すると、真の目的はマフィアの利益、酒造業界の入れ替えにあったことが伺える。売春防止法にも似たような目的があるのだろう。また、近年の禁煙運動の真の目的は何だろうか?
原文の紹介・関連情報
原文 17 big questions about the handling of the Gulf of Mexico oil spill
