掲載2010年4月13日
ジェシー・ヴェンチュラの登場で新段階を迎えた陰謀論
米国の陰謀論の分野で、ジェシー・ヴェンチュラ(Jesse Ventura)という人物が急速に脚光を浴びている。2009年12月からTruTVという米国のケーブルテレビ・ネットワークで、”Conspiracy Theory with Jesse Ventura”という陰謀解明の番組を始めている他、CNNなど大手のメディアのトーク番組にも露出し、現在、彼の陰謀解明の本”American Conspiracies”が、ニューヨークタイムズのノンフィクション部門でベストセラー上位10位に入っている。
私は数ヶ月前に知り、少し怪しいと思っていたところだが、今般、ヘルスレンジャーが自分のラジオ番組で彼にインタビューしたという記事(ヘルスレンジャーは、基本的には好意的に紹介している)が出たのをきっかけに少し調べてみた。
芸能スポーツから政治へ
Wikipediaの英語版と日本語版によると次のような経歴である。
・ 1951年、ミネソタ州ミネアポリス生まれ。
・ 1969~75年(ベトナム戦争の時代)海軍の潜水部隊。
・ 1975~86年 プロレスラー。引退後、解説の仕事。
・ 1987年 映画『プレデター』に出演。
・ 1991~95年 ミネソタ州ブルックリンパーク市長
・ 1999~2003年 ミネソタ州知事。引退後、テレビのパーソナリティなど。
・ 2008年 大統領選への意欲を示すが、出馬せず。この頃から911事件の事実隠蔽について問題提起を始める。
カリフォルニア州知事のシュワルツネッガーと似たような感じで、基本的には芸能スポーツ界の人だ。
YouTubeで検索すると、TruTVやアレックス・ジョーンズのショーに出演しているビデオがある。私が見た限りでは、細かい部分は別にしても、内容的には事実を伝えているようだ。一年ぐらい前は、オバマに期待していた様子もあるが(オバマ暗殺を懸念していた)、最近では批判的になっている。また、人物的には、私は特に悪い印象は受けない。たぶん正直な人ではないかと思う。
それでは何故、怪しいと感じるのかというと、主流のマスコミに乗っているからだ。どうして陰謀論の本がベストセラーになったり、CNNのラリーキング・ライブに出演したり、自前のテレビ番組(TruTVはタイムワーナー社が所有)を持ったりと、これほどアメリカの大手メディアに露出できるのか。
誰がプロデュースしているのか?
真実が広まるという意味では、深く考えずに歓迎すべきなのかもしれない。だが、ここまでメジャーなマスコミに乗るということは、警戒すべきだと思う。両建て作戦には注意しなければならない。そして、ヴェンチュラ自身に悪意がなくとも、彼はもともと芸能界の人間である。芸能人とはマネーをもらって演技する人間のことであり、脚本に基づいて行動するのが仕事なのだ。だから、今までの経歴の延長で自然にやっている可能性がある。
ヘルスレンジャーとのインタビューでも(ヴェンチュラの音声がこもっているので、私のリスニング力ではよく聴き取れないのだが)、TruTVの番組は「エンターテイメントであって、ドキュメンタリーではない」と自ら言っている。また、ヘルスレンジャーが「今回の本にアスパルテームの陰謀のことは書いてある?」「次の話題はどんなことを考えてます?」などと質問しているが、それに対して本の目次を読み上げて返事をしたり、まだ何をテーマにするか未定だと(つまりディレクターや脚本家が決めるということか?)答えている。
だれが彼をプロデュースしているのか? もしも、ヴェンチュラの陰謀曝露が計算された動きだとすれば、何が目的なのだろうか?
アメリカのブログを検索してみると、戒厳令の口実を作るためという説がある。数百万人に増えているヴェンチュラのファンが暴動を起こすシナリオである。それも一つの可能性だろう。だが、そのような暴動を起こすのであれば、もっと簡単な方法もありそうなものだ。
いずれにしても、彼の活動を支えているマネーの動きが分かれば一番確実なのだが、今一つ私の調査力では手がかりがつかめない。ただ、比較的分かり易いところにヒントが見つかった。それは現在ベストセラーになっている”American Conspiracies”だけでなく、前作の”Don't Start the Revolution Without Me “(オレ抜きで革命するな、2008年)もだが、「共著」となっているDick Russelという人である。
この人は、昔からケネディの暗殺の陰謀を調べてもいるが、なによりも日本の捕鯨などを目の敵にしている「環境保護派」のようだ。そして環境保護団体NRDC(Natural Resources Defense Council)の季刊誌の編集員もしている。この団体は、米国芸能界のセレブたちが支援する有力団体で、ローレンス・ロックフェラー(ジュニア)が理事になっている。
ヴェンチュラのイメージからして、少し意外な「共著者」ではなかろうか?
武術の極意は相手の力を使うこと
きっと、これは論理ではなくダイナミックな(運動神経的な)戦法なのだ。だから、ヴェンチュラが言っていることが理屈として正しいかどうかを評論しても疲れるだけである。要するに人間を両サイドに分けて戦わせたいのだ。おそらく「共和党と民主党の対立」という構図があまり意味をなさなくなったので、新しく対立する勢力を作りたいのだろう。実は昔からヴェンチュラ自身が、二大政党制による政党至上主義こそがアメリカの根本的な問題だと言い続けている(つまり、陰謀解明とは言ってもレベル的にはその程度だ)。アメリカに既存勢力と「対決」する新しい政治勢力を築きたいと思う人間がいるとすれば、ヴェンチュラは最適な役者だろう。
ヴェンチュラ自身が2012年の大統領選に出る意思を否定していないこともあるが、ひょっとすると、オバマの交替要員(次の大統領)の一人に考えているのではないかとさえ思う。古くはリンカーン暗殺から911などブッシュ政権の陰謀、さらにオバマ政権も含めて、すべて「今までは悪い連中が陰謀していた。これからは正義の時代だ」として、「正義の男」というイメージで登場するのではなかろうか? ヴェンチュラは、「勧善懲悪」キャラで、大衆受けする。ブッシュのように投票をごまかさなくても楽に当選するだろう。オバマは2012年の任期満了まで使ってもらえるのか、途中で解雇(不慮の死?)されるのか? いずれにしても、経済破綻の責任を全部押し付けられ、使い切られた上で御用済みになるのではなかろうか。
結局は、人間の心理を巧妙に使っている。自分は悪くない、悪いのは裏で陰謀を企んでいた連中だということにすれば、非常に大衆心理的には受け容れやすい。そして、新たな演出・装いを着けた支配の裏には昔から変わらぬ支配者(脚本家)がいるのだ。そして、それを支える「救世主を待つ大衆」も。
この統計が正しいのか知らないが、現在、911が計画的なビルの解体工事だったと考えているアメリカ人は15%だという。ヴェンチュラの登場で、この比率は上がっていくだろう。
ドルが崩壊し、米国経済が混乱に陥り、オバマが行き詰ったとき、ヴェンチュラが「救世主」として登場するのだろうか? それも米国だけでなく、南北アメリカ大陸を統合した大アメリカの救世主として(ヴェンチュラは既に半分をメキシコで過ごしているそうだ)。あるいは、少なくともそれを支える動きをするのではなかろうか?
いずれにしても、米国では、911の真相解明は「主流」になった。ヴェンチュラは、ワクチンによる人口削減(これは私の理解では削減ではなく不具化だが)も取り上げている。だから、もう遠慮せず、どんどん暴露していって大丈夫だ。
この内容は想像が過ぎるような気もするので掲載すべきか迷ったが、一つの可能性として考えていただくには面白いと思ったので、紹介してみた。
もっとも、あまり深く考えなくても、東洋には「巧言令色鮮なし仁」という知恵がある。
