掲載2010年8月20日

訳者メモ

先日の「怪しい臭いがするウィキリークスのジュリアン・アサンジ」に登場したハミド・グルがアレックス・ジョーンズのショーに出演した内容のダイジェスト記事である。

イスラム教とはどのような宗教なのか私もよく知らないが、例えばこちらの解説(イスラム教の特徴)を読むと、「イスラム教ではお坊さん、聖職者はいません。信者はすべて対等です」「ムスリムは結婚前に両者が契約書を作る。何が書いてあるかというと、離婚する場合の条件が書いてある」「弱い男の理性を崩壊させないように、女は肌を隠す」などと、なかなか人間の本質を素直に捉えた現実的な宗教のようだ。少なくともキリスト教よりはまともに思える。なお、「アラー」というのは「神」を意味する一般名詞なので、「アラーの神」という言い方は同じ言葉を重ねて用いる間違った表現になるそうだ。

今回の記事を読んで思ったが、イスラム教の好戦的なイメージというのは、戦後アメリカが展開してきたプロパガンダによって刷り込まれたものではなかろうか。なんかよくわからないけど狂信的な連中がいて、争ってばかりいるというイメージがあれば、世界の警察官アメリカも失業しなくて済むからである。

聖戦(ジハード)には、内なるジハード(自分との戦い)と外へのジハード(異教徒との戦争)があり、この外へのジハードが、「拡大ジハード」として外部侵略の根拠となったこともあるが、現在では基本的に「防衛ジハード」のみと考えるのが主流だそうだ。

グルが懸念しているのは、アメリカの横暴によって挑発されたパキスタンが、この防衛ジハードを発動し、イスラム教徒の義務として国際連帯が発生して第三次世界大戦に発展する可能性である。

ある戦争行為をジハードとして遂行することが必要となった場合は、統治者(カリフやスルタン)はムフティーにその戦争がジハードとして認められるかどうかを諮問しなければならない。その結果、ムフティーが合法であるとするファトワーを発することで、統治者はジハードを宣言することが出来る。この場合その戦争が『防衛的ジハード』である場合は国家を超えてすべてのイスラム教徒が直接的・間接的な手段のいずれかでジハードに参加しなくてはならない。

(ウィキペディア ジハード

運命共同体ならば、攻撃されたときに一致団結して戦うのは当然のことであろうが、それを因果関係を逆転させて宣伝するのが得意なアメリカ支配層は、「好戦的」なイスラム教徒のせいにするのだろう。

パキスタンの元ISI長官が第三次世界大戦の急迫を懸念
アメリカというシステムを衝き動かす「暗黒」を語るハミド・グル

Former Pakistani Intel Chief Fears World War Three Is Imminent
General Hamid Gul points to “dark impulse” controlling US system

スティーブ・ワトソン

By Steve Watson

(Prisonplanet.com)

2010年8月17日

- 地球規模の徒党(グローバル・クリーク)、「ウルトラ・インペリアル・クラブ」が世界情勢を形成している。

- 「テロとの戦い」と言われている不安定化工作が第3次世界大戦をもたらす可能性がある。

- 全イスラム世界を怒らせ、「国際的な聖戦(ジハード)」へと挑発する。

- 中東(およびその奥)を支配するための口実として捏造されたのが911。

- ウィキリークス(Wikileaks)が暴露した機密情報は「悪魔の戯言」

昨日のアレックス・ジョーンズ・ショーに、パキスタンの退役将校で諜報機関長官を務めたことのあるハミド・グル氏が出演し、1時間の長いインタビューの中で、現代史を形成している地政学の主要問題を見事に語っている。

1987-89年にパキスタンの諜報機関ISI(Inter Services Intelligence)長官をし、CIAとともにアフガニスタンで対ソ隠密戦争に従事したグルには、いわゆる「テロとの戦い」に関して豊富な知見がある。

米国とアフガニスタンの軍事機密を暴露したとされる最近のウィキリークス事件の解釈など、多くの問題について話している。

「私の解釈(事実認識)はアメリカには届かない。ビザも拒否されている。彼らは、私が真実を語り、それに人々が耳を傾けることを恐れているから、アメリカに入国させようとしない。」

悪魔のナンセンスでパキスタンを敵視

彼がアフガニスタンとパキスタンで米軍に対する攻撃を「クォーターバック(指揮)」しているのではないかという嫌疑に関し、グルはこう語っている。

「(CNNの)フェアリード・ザカリア(Fareed Zakaria)は、私の話を20分間録音したが、たった6分しか紹介していない。おかしな扱いだ。私は情報を持っているし、私が話したことは正真正銘の真実だ。ザカリアはアメリカ人を無知の暗闇に置いたままにしたかったに違いない。」

グルによれば、アフガニスタンの諜報機関には「いまだに古臭い共産主義の頑固者がはびこって」おり、ソ連の排除に携わっていたグルを懲らしめようとしているという。また、アフガニスタンとパキスタンにおける米国の軍事的失敗に、74歳の引退したグルが、一役買っているなどと信じるのは、バカバカしいとも言っている。

「真実はと言えば、自ら〔米国〕の政策立案者が必要な方策を思いつかなかったから失敗しただけのことだ。自らの将軍たちが与えられた任務を果たしていなかっただけのことで、どうして失敗を認めず、他の誰かのせいにして責任をなすりつけるのかね?」と言っている。

「悪魔の戯言だ。この程度の諜報活動を根拠にしてこの地域の政策を決めているならば、アメリカに神の助けあれだ。これは間違いで、完全に捏造されている。誰が関与しているか話そう。」とグルは語る。

グルは、軍の情報収集活動が、私営の請負業者にかなり依存している現実を非難している。私営企業だから、利益を拡大するために戦争を拡大する動機しかないのだ。

「CIAもFBIも、挙句には大量の民間人犠牲者を出して喜んでいるタスクフォース373〔訳註:アフガン戦争で活動している秘密特殊部隊〕も、どうやったらあそこまで愚かになれるのだろうか。右も左も中道も関係なく人々を殺している。新しい情報が来るたびに、結婚パーティーを爆破したり、葬列を爆撃したり、罪の無い人を爆撃している。病院さえ爆破した。」

「想像してみてほしいが、安全保障(セキュリティ)請負業者が提供する情報に基づく判断で大々的に人権の侵害がなされているのだ。アメリカ国民とアメリカ憲法が目指しているものを悉く蹂躙する非人間的な行為だ」とグルは言う。

「彼らの方針を批判する者は、全て敵扱いだ。完全な勘違い、誤解である。我々はCIAとも一緒に活動するし、アメリカ人とも一緒に働いている。私には多くの友人がおり、尊敬している。私の忠告も役に立つはずだ。」とグルは言った。

ウルトラ・インペリアル・クラブ

イギリスの諜報将校と共に訓練を行ったこともある元ISI長官のグルは、イギリス、イスラエル、インドの諜報活動の「ウルトラ・インペリアル・クラブ」のことを語っている。このクラブは、「アメリカの政策決定を思うままに誘導」しており、「アメリカが内側から繁栄することを望んでいない」という。

「アメリカ国民は、この暗黒の目標(アジェンダ)のため、搾取されている。私の見たところ、この活動にふけっている徒党は、ごく少数の人間で構成されている。」とグルは付け加えた。

また、中東での本当の目標(アジェンダ)には多面性があることも指摘している。彼らグローバル徒党の「テロとの戦い」は、第一の側面としては、現在アメリカを支配している企業帝国に、カスピ海の油田開拓に必要な地域で中心の座を占めさせる目的がある。第二に、その地域に中国を近づけない意味がある。第三に、イスラムの平等主義原則、平等と自由に基づく新興勢力がその地域に台頭しないよう防止する意味がある。「こうした原則が適用されれば、帝国主義勢力はどこにも隠れる場所がなくなるに違いない」とグルは語る。そして最後に、近隣諸国を内部から不安定化させることにより、イスラエルに安全保障の盾を提供する側面がある。

この地域の人々が誇りにしている古来の原則に逆らった行動をするグローバル徒党に言及して、「我々も傷つくが、それ以上に彼らは傷つくだろう」とグルは言う。

「これは宗教よりも強い感情を喚起する」とグルは言う。「そして、人々は全てを赦すことはできないだろう。私は、アメリカと西側のために、この地域を永遠に失うことになるのではないかと懸念している。この紛争は、アメリカの名誉と尊厳を徹底的に傷つけて終わることになる。そうなってほしくはない。私は純粋にこの話をしているのだ。」とグルは付け加えた。

「もし彼らがパキスタンに巻き込まれれば、長期間、留まることになるだろう。彼らが戦争を拡大するなら、アフガニスタン、パキスタン、イラン、どこであろうと、アメリカに対して戦闘を挑むことになる。紛争エリアが拡大するほど、紛争期間が長期化するほど、より多くの爆弾(火力)を備えた既成権力は勝てなくなる。これは歴史の教訓であり、不変だ。」

国際連帯ジハードの可能性

「私が心配しているのは、パキスタンが追い詰められれば、イスラム国家としてパキスタンは国際聖戦(ジハード)を宣言することになりかねないことだ」とグルは戦慄しながら警告している。

「いったんイスラム国家が国際聖戦を宣言すれば、残り全世界のイスラム教徒は結束して聖戦の支援に乗り出さねばならなくなる。この召集がかかれば、完全に現代史を塗り替えてしまうだろう。」

「彼らはイランが敵だと我々に信じてほしい。だが、イランが敵なのではない。イランとパキスタンの間に敵対関係はない。これは完全に嘘であり、単にイランを中傷しているに過ぎない。だが、イスラエルは、断固としてアメリカを戦争に引き込み、イランへの大攻撃をさせようとしている。もし彼らが一方的に何箇所かの標的に攻撃を始め、方々で二、三個の爆弾を落とせば、それだけでコントロール不能な紛争へと炎上することになると思う。」と、これから発生する恐怖のシナリオをグルは述べた。

「アメリカはこの戦争にはまる可能性が高く、これが結果的に第三次世界大戦だったということになりかねない。それは第一級の災害となるだろう。何としても回避しなければならない。」

「ロシアと中国が自制できるかどうかは分からない。さまざまなものを消耗する地獄になるだろう。最も苦悶するのは企業国家アメリカのはずだ。いったいどこで金を売り、石油を採取するつもりだろうか?」とグルは言う。

そのような破滅的な紛争を避けたいならば、世界中の人々は、世界情勢を操っているエリート集団が繰り出すプロパガンダを信じてはならないとグルは訴える。

「文明の衝突など存在しない。不幸なことだが、作られた想念である。イスラム教が敵だと思われているのは何故か? イスラム教は、キリスト教とユダヤ教を包含するもので、単独で存在するものではない。実際には聖書の三つの宗教の全てを包含しており、本来は友好・平和関係になるはずなのだ。」

「アメリカというシステムが持つ暗黒の衝動は不要だ。私はアメリカ人とは言わない。とても善良な人々だ。除去すべき暗黒の衝動を持っているのは、アメリカというシステムだ。だが、それを除去できるのは、アメリカ人だけだ。」

グルは、911攻撃が内部犯行であったことについて語るため、アレックス・ジョーンズ・ショーに出演した。同じ週に行われたCNNのインタビューで検閲されてしまった内容について説明している。

911攻撃は、アフガニスタンに介入する口実に利用するための凶悪な作戦であり、パキスタンに介入し、当該地域の支配に向けた出発点としても利用する目的だったという彼の見解を繰り返し述べている。

また、2008年のムンバイ・テロ事件は、パキスタンのせいにするつもりで、西側配下の諜報活動が行った事実を示す証拠も語った。グルは、事件直後にこれを主張していたが、その後、米国とインドの秘密工作員が事件に関与していたことを主流のメディアも報道しており、グルの情報が正しかったことが証明されている。

パキスタンの指導者だったベナジル・ブットの死についても語っている。ブットは、グローバリスト利権に「反抗的になった」ため、ネオコン配下の暗殺団に抹殺されたことを重ねて断言している。

この画期的なインタビューの全体は以下でご覧ください。

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)

関連情報

原文 Former Pakistani Intel Chief Fears World War Three Is Imminent (Prisonplanet.com)

第44回 イスラム教の特徴 (世界史講義録)